4年に1度のサッカーの祭典『FIFAワールドカップ』ですが、今までどのようなデザインの公式ボールが使用されてきたか気になりますよね?
デザインや素材などに変化はあったのでしょうか?
本記事では、アディダスがスポンサーとなった1970年メキシコ大会からの歴代公式ボールをまとめています。
目次
- 1 FIFAワールドカップ【歴代公式ボール】
- 1.1 『テルスター(telstar)』1970年メキシコ大会
- 1.2 『テルスター(telstar)』1974年西ドイツ大会
- 1.3 『タンゴ(tango)』1978年アルゼンチン大会
- 1.4 『タンゴ・エスパーニャ(tango espana)』1982年スペイン大会
- 1.5 『アステカ(azteca)』1986年メキシコ大会
- 1.6 『エトルスコ・ユニコ(etrusco unico)』1990年イタリア大会
- 1.7 『クエストラ(questra)』1994年アメリカ大会
- 1.8 『トリコロール(tricolore)』1998年フランス大会
- 1.9 『フィーバーノヴァ(fevernova)』2002年日韓大会
- 1.10 『+チームガイスト(+teamgeist)』2006年ドイツ大会
- 1.11 『ジャブラニ(jabulani)』2010年南アフリカ大会
- 1.12 『ブラズーカ(brazuca)』2014年ブラジル大会
- 1.13 『テルスター18(TELSTAR18)』ロシア大会
- 2 まとめ:プレーヤーや観客を楽しませるためにボールも進化している
FIFAワールドカップ【歴代公式ボール】

サッカーボールから歴代のFIFAワールドカップを振り返っていきましょう。
『テルスター(telstar)』1970年メキシコ大会
メキシコ大会成績 | |
優勝 | ブラジル |
準優勝 | イタリア |
3位 | 西ドイツ |
ワールドカップを世界中の人々がテレビで観戦できるようになった時代、当時の白黒のテレビでも映えるように白黒のデザインが採用されたと言われています。
カラーテレビが普及し始めた時代でもあり、「テレビジョン」と「スター(星)」を組み合わせて『テルスター』と名付けられたとか…
1960年代まで一般的だった茶色い革のサッカーボールに対し、32枚のパネルが使われた白黒の亀甲パターンのボールは選手・観客共に視認性が高かったようですね。
『テルスター(telstar)』1974年西ドイツ大会
ドイツ大会成績 | |
優勝 | 西ドイツ |
準優勝 | オランダ |
3位 | ブラジル |
西ドイツ大会では、全大会のゴールドのブランドロゴを新たに黒のブランドロゴに変えて『NEWテルスター』として再登場しました。
中身の変更はありませんでしたが、より耐久性がアップするように、プラスチックコーティングが施されているそうです。
ナイトゲームでもボールを確認しやすいように、ホワイト一色やオレンジ一色のボールも用意されました。
『タンゴ(tango)』1978年アルゼンチン大会
アルゼンチン大会成績 | |
優勝 | アルゼンチン |
準優勝 | オランダ |
3位 | ブラジル |
開催国だったアルゼンチンの音楽「タンゴ」をイメージし、パネルに描かれた独特の三角模様がボールが動いている時に格好よく見えるようにとデザインされたそうです。
このボールの正式名称は『タンゴ・リバー・プレート』と言い、アルゼンチンの名門クラブから名前を取っているのもわかります。
革新的なデザインの三角模様は、1998年のフランス大会まで長く用いられることとなりました。
『タンゴ・エスパーニャ(tango espana)』1982年スペイン大会
スペイン大会成績 | |
優勝 | イタリア |
準優勝 | 西ドイツ |
3位 | ポーランド |
前回大会で評判の良かったタンゴ、スペイン大会ではほとんどデザインの変更はありませんでした。
天然皮革を素材としながらもポリウレタンコーティングが施されて防水性もあり、革新的な密閉式の縫い目が特徴となっています。
FIFAワールドカップの公式球で天然皮革が使用されたのはこのボールが最後となりました。
『アステカ(azteca)』1986年メキシコ大会
メキシコ大会成績 | |
優勝 | アルゼンチン |
準優勝 | 西ドイツ |
3位 | フランス |
FIFAワールドカップで最初の人工皮革製の公式球です。
天然皮革のボールと比較すると、耐久性が向上すると共に吸水性を抑えることが可能になりました。
ボールのデザイン自体はそれほど変わっていませんが、三角模様の部分に開催国の文化にちなんだ模様がプリントされています。
この年の開催国はメキシコなので、古代アステカ文明の歴史を表現した模様が描かれています。
『エトルスコ・ユニコ(etrusco unico)』1990年イタリア大会
イタリア大会成績 | |
優勝 | 西ドイツ |
準優勝 | アルゼンチン |
3位 | イタリア |
紀元前イタリア半島に栄えた古代文明エトルリアを表現したこのボールは、エトルスコ・ユニコと呼ばれています。
ポリウレタンを使用した初の試合球で、優れた防水性を実現しています。
動きとスピードも改善されたようです。
『クエストラ(questra)』1994年アメリカ大会
アメリカ大会成績 | |
優勝 | ブラジル |
準優勝 | イタリア |
3位 | スウェーデン |
ハイテクノロジーを駆使してボールのスピードを速め、よりソフトな感触が再現されるようになりました。
アメリカNASAをイメージさせる星や星座のデザインが、よりスピードを感じさせてくれますね。
『トリコロール(tricolore)』1998年フランス大会
ドイツ大会成績 | |
優勝 | 西ドイツ |
準優勝 | オランダ |
3位 | ブラジル |
ワールドカップで初めて混色を取り入れた公式ボールです。
トリコロールとは、赤・青・白からなるフランスの三色旗のことですね。
フランスの伝統的なシンボルである雄鶏と、近代フランスのシンボル高速列車とタービンを融合したデザインと言われています。
『フィーバーノヴァ(fevernova)』2002年日韓大会
日韓大会成績 | |
優勝 | ブラジル |
準優勝 | ドイツ |
3位 | トルコ |
1978年のTangoのデザインから脱却し、色鮮やかで革新的なデザインとなりました。
共催国である日韓両国にインスピレーションを得たデザインで、手裏剣をイメージしたのだとか。
近年の目覚しい技術革新を称えるとともに、W杯への正解中の人々の熱気なども表現されています。
『+チームガイスト(+teamgeist)』2006年ドイツ大会
ドイツ大会成績 | |
優勝 | イタリア |
準優勝 | フランス |
3位 | ドイツ |
プロペラ状のパネル6枚とローター状のパネル8枚の斬新的な14枚のパネルで構造されていて、究極の球体を実現するためのデザインとなっています。
サーマルポンディングと呼ばれるパネル同士を特殊な接着剤と熱によって接着する技術を採用し、手縫いのボールに比べて表面の凸凹が少ないのが特徴です。
これにより、選手の持つ技術をそのままボールに伝え、正確なコントロールやキックを可能としています。
『ジャブラニ(jabulani)』2010年南アフリカ大会
南アフリカ大会大会成績 | |
優勝 | スペイン |
準優勝 | オランダ |
3位 | ドイツ |
アフリカ大陸初開催を祝福し、南アフリカ共和国の公用語のひとつ「祝杯」を名称として『ジャブラニ』が採用されました。
前回大会で使用した14枚のパネルから8枚(2種類)の立体パネルに変更し、更に真球に近い球体を実現しています。
デザインは、南アフリカ共和国の伝統的なパターン模様をモチーフにしています。
『ブラズーカ(brazuca)』2014年ブラジル大会
ブラジル大会成績 | |
優勝 | ドイツ |
準優勝 | アルゼンチン |
3位 | オランダ |
これまでの公式球の中で最小枚数である6枚のポリウレタン製パネルで構造されていて、同形状のパネルがしようされていることもあり、ボールバランスや飛行安定性が向上しました。
デザインはブラジルを連想させる緑・青・オレンジの3色で構成され、中央にはブラジル国旗にも使用されているネイビーカラーと星が描かれています。
ボールの名称『ブラズーカ』とは、ブラジル国民の誇りを現した言葉のようです。
『テルスター18(TELSTAR18)』ロシア大会
ロシア大会成績 | |
優勝 | フランス |
準優勝 | クロアチア |
3位 | ベルギー |
前回大会のブラズーカから6枚均一パネルを継承し、新たなパネル形状を採用してプレーヤーのパフォーマンスを最大限に引き出してくれます。
「サーマルボンディング製法」という熱接合技術を採用し、縫い目の無い表皮構造を可能にしたことで、どこを蹴っても同一の反発力が生じるようになりました。
その結果、正確なパスやシュートを実現することが可能となりました。
まとめ:プレーヤーや観客を楽しませるためにボールも進化している
- 1970年メキシコ大会『テルスター(telstar)』
- 1974年西ドイツ大会『テルスター(telstar)』
- 1978年アルゼンチン大会『タンゴ(Tango)』
- 1982年スペイン大会『タンゴ・エスパーニャ(tango espana)』
- 1986年メキシコ大会『アステカ(azteca)』
- 1990年イタリア大会『エトルスコ・ユニコ(etrusco unico)』
- 1994年アメリカ大会『クエストラ(questra)』
- 1998年フランス大会『トリコロール(tricolore)』
- 2002年日韓大会『フィーバーノヴァ(fevernova)』
- 2006年ドイツ大会『+チームガイスト(+teamgeist)』
- 2010年南アフリカ大会『ジャブラニ(jabulani)』
- 2014年ブラジル大会『ブラズーカ(brazuca)』
- 2018年ロシア大会『テルスター18(TELSTAR18)』
パネルの形状や使用されている素材、製法技術など、プレーヤーのパフォーマンスを最大限に引き出そうと、小さなボール1個に様々な工夫が施されているのがわかりますね。
また、デザインや視認性からボールで観客を楽しませてくれるのも魅力ですよね。
FIFAワールドカップで使用される公式ボールは、プレーヤーと観客を喜ばせる最新技術が詰まっていることがわかります。
2022年のカタール大会では、どのようにボールが進化しているのかも楽しみとなりますね。