イングランド国内のサッカー界には、
という三つの異なる顔を持つ大会があります。
それぞれが独自の魅力と歴史を持ち、サッカーファンたちに熱い戦いを提供しています。
しかし、イングランドサッカーが好きなファンの中には、各大会の違いがわからないファンも多いことでしょう。
そこで本本記事では、それぞれの大会の違いを紐解きながら、
など、詳しく解説します。
一緒に英国サッカーの奥深い世界に飛び込んでみませんか?
FAカップの歴史と概要
FAカップは、1871年に創設された世界で最も古いサッカートーナメントです。
この大会は全てのイングランドサッカー協会(FA)に所属するクラブに開放されており、プロ・アマを問わず多様なクラブが参加します。
独特の抽選システムと一発勝負の形式により、予想外の結果やジャイアントキリングと呼ばれる大番狂わせがしばしば発生します。
FAカップの参加クラブ
FAカップでは、イングランドサッカー協会(FA)に登録されている全てのクラブが参加資格を持ちます。
これには、
- 世界トップクラスのプレミアリーグクラブ
- 2部にあたるチャンピオンシップのクラブ
- 地域リーグのアマチュアクラブ
まで含まれ、多種多様なクラブが集結します。
プレミアリーグ(1部)とチャンピオンシップ(2部)のクラブは本選3回戦から、それより下位のリーグクラブは予選ラウンドから試合を始めます。
このオープンな参加資格が時に驚きの結果を生み出しています。
FAカップは日本でいうところの天皇杯にあたります。
FAカップのルール
FAカップは、ホーム&アウェイ方式ではなく一発勝負のトーナメント形式です。
2023-24シーズンまでは引分け時の再試合ルールが設けられていましたが、2024-25シーズンからは、再試合が廃止されることが決定しました。
再試合が特長だったFAカップですが、試合数の増加に伴うコンディション管理の難しさが考慮されるかたちとなりました。
過密日程を避けたかったプレミアリーグのクラブには朗報ですが、再試合で収入を得ていた下部リーグのクラブからは不満の声が出ているようですね。
プレミアリーグでは、過密日程を避けたいので再試合に反対するビッグクラブが多いです。
\FAカップの特徴だった再試合の仕組みはコチラで解説/
FAカップの開催地
基本的にFAカップは、抽選時に決めた対戦クラブどちらかのホームスタジアムで試合が行われます。
抽選で開催地となったホームクラブは、大きなアドバンテージを受けることになるため、ジャイアントキリングが起こりやすい要因の一つとなっています。
準決勝と決勝は中立地の『ウェンブリー・スタジアム』で開催することにより、フェアな競争を促し、より正確なチームの実力が問われる場となっています。
サッカーの聖地と呼ばれるウェンブリー・スタジアムで戦うことは多くの選手にとって夢であり、この伝統的なスタジアムでの対戦はイギリスサッカーの重要な一ページを飾ります。
ウェンブリー・スタジアムは、イングランド代表の公式戦や音楽のコンサートで使用されています。
FAカップの日程
2024-25シーズンのFAカップは、
8月3日に予選ラウンドが開幕し、翌年5月17日の決勝戦で閉幕します。
多くのクラブがエントリーし、各クラブは栄光を手に入れるために長期に渡る熱戦を繰り広げます。
特にピークとなるのは3月の準々決勝からで、この時点で残ったクラブは最終的な勝者に一歩ずつ近づいていきます。
プレミアリーグと開催期間がだいたい同じです。
FAカップで優勝すると
FAカップで優勝することは、クラブにとって最高の栄誉の一つです。
優勝クラブには次シーズンのUEFAヨーロッパリーグへの出場権が与えられるため、これが大会の重要性をより高めています。
もし優勝クラブがチャンピオンズリーグの出場資格を有していれば、その出場権はCLやELの出場権を有していないプレミアリーグの最上位クラブに移ります。
また、優勝賞金は約3億2000万円にもなり、大きな魅力を持つ大会となっています。
FAカップに近い日本の天皇杯の優勝賞金は約1億5,000万円です。
カラバオカップの歴史と概要
カラバオカップは、もともとEFLカップ(リーグカップ)と呼ばれている1960年に創設されたイングランドの国内サッカー大会ですが、命名権が売却されることによって名称が頻繁に変わります。
現在は、タイのエナジードリンクメーカー「カラバオ社」の名を冠しています。
この大会は、イングランドのトップリーグであるプレミアリーグと、その下位リーグに属するクラブが参加し、ノックアウト形式で戦います。
カラバオカップの参加クラブ
カラバオカップには、
プレミアリーグのクラブを含むイングリッシュ・フットボールリーグに属する92のクラブが参加資格を持ちます。
これにはイングランド制の1部リーグ(プレミアリーグ)から4部リーグまでのクラブが含まれますが、5部以下のクラブは参加することができません。
この大会はイングランドのほぼ全てのプロフェッショナルサッカークラブにとって、重要なタイトルの一つとなっています。
日本でいうルヴァンカップにあたります。
カラバオカップのルール
カラバオカップでは、準決勝を除き、全試合が一発勝負のノックアウト形式で行われます。
90分終了時に同点だった場合は延長戦を行い、それでも勝負が付かない場合はPK戦で次のラウンドに進むクラブを決定します。
ホームゲームになるかどうかは、FAカップ同様抽選となります。
このため、ホームチームは大きなアドバンテージを受けるかたちとなり、下位クラブがビッグクラブに勝利するジャイアントキリングが起こりやすいのが特徴です。
準決勝のみホーム&アウェー形式で2試合が行われ、合計得点で勝敗が決まります。
これにより、ファイナルへ進むチームが決定されます。
以前は再試合(リプレイ)を行っていましたが、過密日程を避けるために廃止となりました。
カラバオカップの開催地
カラバオカップの1回戦〜準々決勝までは、対戦クラブのどちらかのホームスタジアム、準決勝はホーム&アウェイで開催されます。
決勝戦のみFAカップと同様サッカーの聖地『ウェンブリー・スタジアム』で開催されることが伝統です。
カラバオカップの日程
カラバオカップでは、大体毎年8月に1回戦が開幕し、その後数ヶ月にわたり各ラウンドが行われます。
準決勝は1月に、決勝戦は2月下旬に開催されることが一般的です。
2024-25シーズンは以下のような日程となっています。
この間に、クラブは国内リーグやFAカップと並行して戦い続けます。
過密日程を避けるために準決勝も1発勝負にしてもらいたいというクラブも多いです。
カラバオカップで優勝すると
カラバオカップで優勝したチームには、次シーズンのUEFAカンファレンスリーグへの出場権が与えられます。
UEFAカンファレンスリーグは、チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグに次ぐ欧州サッカーの第3層の大会です。
優勝賞金は約1880万円と、FAカップに比べると20分の1程度しかないので、どうしてもFAカップより見劣りしてしまいます。
ビッグクラブにとってはCLやELの方が優先される傾向にあるので、カラバオカップは若手選手にとって貴重な経験を積む機会を与える場にもなります。
ルヴァンカップの優勝賞金1億5,000万に比べてもかなり少ない賞金ですね。
プレミアリーグの歴史と概要
英国のサッカー1部リーグとして1992年に創設されたプレミアリーグ。
それ以前からフットボールリーグとしてその土台が築かれ、現在では世界最高峰のサッカーリーグと称されています。
多国籍で豪華な選手陣を擁し、経済的にも巨大なリーグとなっている。
プレミアリーグの参加クラブ
プレミアリーグには、マンチェスター・シティやリヴァプールなどのビッグクラブを含む、名高い20のクラブが参加しています。
2024-25シーズンのプレミアリーグ参戦クラブは以下の通りです。
チーム名 | ホームスタジアム | 順位 (2023-24シーズン) | 備考 |
---|---|---|---|
マンチェスターC | エティハド・スタジアム | 1位 | CL出場 |
アーセナル | エミレーツ・スタジアム | 2位 | |
リヴァプール | アンフィールド | 3位 | |
アストン・ヴィラ | ヴィラ・パーク | 4位 | |
トッテナム | アンフィールド | 5位 | EL出場 |
ブライトン | トッテナム・ホットスパー・ スタジアム | 6位 | |
チェルシー | スタンフォード・ブリッジ | 7位 | |
マンチェスター・ ユナイテッド | オールド・トラッフォード | 8位 | EL出場 (FAカップ王者) |
ウェストハム | ロンドン・スタジアム | 9位 | |
クリスタル・パレス | セルハースト・パーク | 10位 | |
ブライトン | アメックス・スタジアム | 11位 | |
ボーンマス | バイタリティ・スタジアム | 12位 | |
フラム | クレイヴン・コテージ | 13位 | |
ウルブス | モリニュー・スタジアム | 14位 | |
エヴァートン | グディソン・パーク | 15位 | |
ブレントフォード | ブランフォード・コミュニティ・ スタジアム | 16位 | |
ノッティンガム・ フォレスト | シティ・グラウンド | 17位 | |
レスター・シティ | キングパワー・スタジアム | チャンピオンシップ 1位 | 昇格組 |
イプスウィッチ・タウン | ポートマン・ロード | チャンピオンシップ 2位 | |
サウサンプトン | セント・メアリーズ・スタジアム | チャンピオンシップ 3位 |
プレミアリーグにはイングランド国内はもちろん、ウェールズからの参加も可能であり、過去には「スウォンジー」や「カーディフ」などがプレミアリーグに名を連ねました。
各クラブは強大な資金力と豪華な選手陣を背景に、白熱した戦いを繰り広げています。
豊富な資金力の影響もあり、世界中からスター選手が集います。
プレミアリーグのルール
プレミアリーグは、20クラブによる総当たり戦をホーム&アウェイで実施し、合計38試合を戦います。
試合の延長戦・PK戦はなく、前後半90分で決着をつけます。
というようにポイントがもらえ、年間を通して最も勝点の多いクラブが優勝となります。
プレミアリーグの特徴としては、リーグ下位3クラブが自動降格となり、その空席をEFLチャンピオンシップ(2部)から上位2クラブとプレーオフ勝者が埋める昇格・降格制度があります。
また、プレミアリーグ上位に入るクラブには、UEFAチャンピオンズリーグなどの欧州大会への出場権が与えられます。
毎シーズンのようにビッグクラブによる激しいタイトル争いが繰り広げられます。
\プレミアリーグのビッグクラブはコチラで紹介/
プレミアリーグの日程
毎年8月に開幕し、翌年の5月まで競技が行われるプレミアリーグ。
2024-25シーズンは、
日本時間の2024年8月17日(土)〜5月26日(月)
の開催となっています。
この期間で、各クラブはホーム&アウェイの38試合を戦い抜きます。
リーグ戦の他に国内外のカップ戦や国際試合の日程も考慮され、選手達にとっては体力や戦術の管理が求められる長く過酷なシーズンとなります。
過密日程で2~3日おきに試合をこなさなければならない月もあります。
\プレミアリーグの年間スケジュールはコチラで紹介/
プレミアリーグの上位クラブは
プレミアリーグの上位クラブは、欧州サッカー大会の
への出場権を得ることができます。
UEFA(欧州サッカー連盟)で定められたカントリーランキングによって、毎年プレミアリーグからの出場枠が決定されます。
2024-25シーズンは、
- プレミアリーグの上位4クラブがUEFAチャンピオンズリーグ出場
- 5位のクラブとFAカップ優勝クラブはUEFAヨーロッパリーグ出場
となっています。
各クラブはプレミアリーグで優勝を目指すのはもちろんのこと、CLやELの出場権を獲得するために熾烈な上位争いを繰り広げます。
また、賞金の額もとんでもなくて、
という賞金を受け取ることができます。
Jリーグの優勝賞金が約3億円なので、プレミアリーグ最下位クラブでもJリーグ優勝クラブより多い賞金が支払われます。
世界最高峰リーグと呼ばれるレベルの違いがわかりますね。
イングランド国内大会の比較
は、それぞれが英国サッカーにおいて独自の価値と魅力を持つ大会であり、ファンに楽しみや興奮を提供しています。
これらの大会は参加資格や優勝特典が異なるため、クラブにとっての重要性や戦術もそれぞれ変わってきます。
英国サッカーを代表するこれらの大会を比較することで、それぞれが持つ独特の文化や歴史を理解することができます。
FAカップ
FAカップは、その長い歴史と伝統を背負い、アマチュアクラブからトップリーグのクラブまでが参加する英国サッカー最古のトーナメントです。
この大会は、小さなクラブがビッグクラブを相手に戦う「ジャイアント・キリング」の舞台としても知られ、多くの感動的なドラマを生み出してきました。
ファンにとっては、自身が応援するクラブが栄光を手にする姿を見ることはもちろん、サッカーの魅力と可能性を再発見する機会となっています。
ELの出場を狙うクラブは力が入る大会です。
カラバオカップ
一方、カラバオカップ(EFLカップ)は、比較的歴史は浅いものの、リーグ戦とは異なる戦い方が求められるため、戦略や選手起用で新たな発見があることが特長です。
この大会は、トップチームのサブメンバーや若手選手が中心となって戦う機会となり、ファンにとっては将来のスターをいち早く見るチャンスにもなります。
下部組織にこんなにいい選手がいるのかと驚かされます。
プレミアリーグ
プレミアリーグは、世界屈指のリーグとして国内外からスター選手や名将が集まり、毎週のように質の高いな試合が繰り広げられます。
世界中のファンが注目する中、クラブの戦略や選手のパフォーマンスがリーグ全体の盛り上がりを生み出しています。
プレミアリーグの試合は、縦に速いサッカーでゴールに迫るシーンが多いのが特長です。常に予測不能な展開があり、ファンを魅了し続けています。
下位クラブにも良い選手が多いので観ていて楽しいです。
\プレミアリーグの特長はコチラで紹介/
FAカップ・カラバオカップ・プレミアリーグの違いを解説|まとめ
大会 | FAカップ | カラバオカップ | プレミアリーグ |
---|---|---|---|
創設 | 1871年 | 1960年 | ・フットボールリーグ1988年 ・プレミアリーグ1992年 |
大会方式 | トーナメント | トーナメント | 総当たり |
出場クラブ | イングランド1部~10部クラブ | 4部までの92クラブ | プレミアリーグ20クラブ |
大会ルール | ・1発勝負 (再試合は廃止) | ・基本的に1発勝負 ・準決勝のみホーム&アウェイ | ・ホーム&アウェイ |
開催地 | ・対戦クラブどちらかのホーム ・準決勝、決勝はウェンブリースタジアム | ・対戦クラブどちらかのホーム ・決勝はウェンブリースタジアム | ・対戦クラブどちらかのホーム |
CL出場権 | なし | なし | 4位までに与えられる |
EL出場権 | 優勝クラブ | なし | ・5位クラブ ・FAカップ優勝クラブ |
メンバー構成 | リーグ戦の控えメンバー中心 | 若手を育成 | ベストメンバー |
優勝賞金 | 約3億2000万円 | 約1,880万円 | 約60億円 |
日本で言うと | 天皇杯 | ルヴァンカップ | J1リーグ |
イングランドのサッカー界における、
は、それぞれ異なる歴史と特徴を持ち、イングランド国内サッカーの魅力を高めています。
これらの大会はそれぞれ異なる魅力を持ち、ファンにサッカーの多様な楽しみ方を提供しています。
優勝することで得られる栄誉や利益も大きく、クラブの歴史やファンの心に残る重要なイベントとなっています。
世界各国からスター選手や名将の集まるイングランドの国内大会、この機会に是非ライブ配信で視聴してみてはいかがでしょうか。