世界最高峰のエンターテイメントとして、日本でも多くのファンを熱狂させているプレミアリーグ。週末の試合を楽しみにしている方も多いはずです。
自分も毎シーズンのドラマに一喜一憂しているファンの一人ですが、ふとこんなことを考えたことはありませんか。「一体、優勝したらどれだけのお金がもらえるんだろう」と。
華やかな舞台の裏で動く金額は、私たちの想像を遥かに超えています。
プレミアリーグでは、マンチェスター・シティのような常勝軍団だけでなく、
- 歴史の中でまだプレミアリーグを優勝したことないチームや、
- 残念ながら最下位でシーズンを終えたクラブであっても、
他国の優勝チーム並みかそれ以上の莫大な配当金を手にしているのです。
この記事では、プレミアリーグの「お金」に焦点を当てて、なぜこれほどまでにリッチなリーグなのか、その内訳や仕組みについて、自分がリサーチした情報を分かりやすくまとめてみました。
興味本位で調べ始めたら、そのあまりの規模に驚かされました。
- 優勝チームと最下位チームの具体的な受取額
- 順位に関係なく全クラブに分配される巨額の放映権料の仕組み
- チャンピオンズリーグや他国リーグと比較した際の圧倒的な資金力
- 降格したクラブを救済するために支払われるパラシュート制度の詳細
プレミアリーグの優勝賞金と総額

まずは皆さんが一番気になっているであろう、具体的な「金額」について見ていきましょう。
プレミアリーグの賞金は単なるボーナスではなく、リーグの収益分配という形をとっています。
ここでは直近の2023-24シーズンのデータを基に、トップとボトムの驚くべき金額を紹介します。
優勝賞金の例(2023-24シーズン)
2023-24シーズンに見事優勝を果たしたマンチェスター・シティ。
彼らがこのシーズンだけでリーグから受け取った総額は、なんと約1億7,590万ポンド(日本円換算で約340億円以上)にも上ります。
驚くべき点は、優勝賞金にあたる順位に基づく分配金(Merit Payment)は、そのうちの5,640万ポンド(約110億円)ほどだという点です。
残りの1億ポンド以上は、優勝しようがしまいが支払われる別枠のお金ということになります。
ここがプレミアリーグの凄まじいところですね。
順位による分配金の推移
順位に基づく分配金は、非常にシンプルかつシビアに設定されています。
2023-24シーズンのデータでは、順位が1つ上がるごとに約280万ポンド(約5億円)の差がつきました。
1位と2位の差はもちろん、10位と11位の差にも同じだけの価値があるため、最終節まで熱い戦いが繰り広げられる理由にもなっています。
たった1つの順位の違いが、クラブにとって数億円の収益差を生みます。
優勝賞金の内訳と仕組み
先ほど触れたマンチェスター・シティの受取総額(約1億7,590万ポンド)の内訳は、大きく分けて以下の3つの要素で構成されています。
| 項目 | 概要 | 金額イメージ |
|---|---|---|
| 均等分配 (Equal Share) | 全20クラブ一律に支払われる | 約9,510万ポンド |
| 順位分配 (Merit Payment) | 最終順位に応じて変動 | 1位で約5,640万ポンド |
| 放映分配 (Facility Fees) | TV放映回数に応じて変動 | 人気クラブほど高額 |
「優勝したから」もらえる金額(順位分配)よりも、「プレミアリーグに参加しているから」もらえる金額(均等分配)の方がはるかに大きいのが特徴です。
最下位でも貰える金額
ここが一番の衝撃ポイントかもしれません。
2023-24シーズン、残念ながら最下位(20位)で終わったシェフィールド・ユナイテッドですが、彼らが受け取った総額は約1億970万ポンド(約210億円以上)でした。
順位分配金はわずか290万ポンド程度でしたが、巨額の均等分配金に支えられているため、最下位であってもこれだけの資金を手にできるのです。
「負けても億万長者」と言われるプレミアリーグの資金力の高さが伺えます。
プレミアリーグの巨額を生む分配金の仕組み

なぜこれほどまでにお金が集まるのでしょうか。その秘密は、世界で最も成功していると言われる「収益分配システム」にあります。
ここでは、その公平かつ資本主義的な仕組みを深掘りします。
均等分配と順位分配の違い
プレミアリーグが「世界で最も公平なリーグ」と呼ばれる所以は、この均等分配(Equal Share)にあります。
放映権料などの収益の大部分を、順位に関係なく20チームで山分けにする仕組みです。
2023-24シーズンは、全チームに一律で約9,510万ポンド(日本円で約190億円)が配られました。
これにより、昇格したばかりの小さなクラブでも、即座に補強資金を得ることができ、ビッグクラブに対抗する戦力を持つことが可能になります。
「どこが勝つか分からない」プレミアリーグの面白さを支えています。
放映権料がもたらす収益
この分配金の原資となっているのが、桁外れの放映権料です。
近年では、英国内(UK)の放映権料よりも、国際(海外)放映権料の方が高額になるという逆転現象が起きています。
かつては国内人気が頼りでしたが、今やプレミアリーグは世界的な人気コンテンツ。
2022-25年のサイクルでは、国際放映権料が国内を上回りました。世界中のファンが課金したお金が、各クラブに還元されているわけです。
自分たちが日本で視聴料を払って試合を見ていることも、回り回ってクラブの強化費になっていると思うと、なんだか感慨深いものがあります。
放送回数による変動要素
分配金には「公平性」だけでなく、「人気」も反映されます。それが放映分配(Facility Fees)です。これは英国内でテレビ中継された試合数に応じて支払われます。
のような人気クラブは中継回数が多くなり、この項目での受取額が増えます。
逆に言えば、順位が低くても人気があって注目される試合が多いチーム(例:残留争いの渦中にある名門など)は、中位の地味なチームよりも多く稼ぐことがあるのです。
欧州他リーグやCLとの賞金比較

プレミアリーグがどれだけリッチなのか、他のリーグや大会と比較するとその異常さが際立ちます。
ここでは、チャンピオンズリーグや他国のリーグと比べてみましょう。
チャンピオンズリーグとの比較
欧州最強を決めるUEFAチャンピオンズリーグ(CL)。
その優勝賞金は名誉と共に莫大ですが、実はプレミアリーグの分配金総額の方が安定して高額になるケースが多いです。
CLの優勝賞金(純粋な賞金部分)は約2,000万ユーロ(約35億円)ですが、グループリーグからの累積やマーケットプールを含めても、優勝チームが得られるのは最大で1億ユーロ(約170億円)前後と言われています。
一方、プレミアリーグは優勝すれば約1億7,590万ポンド(約340億円)。
レートにもよりますが、国内リーグを制する方が、CLを制するよりも金銭的な実入りが良い場合があるというのは驚きです。
ラ・リーガなど他国との格差
スペインのラ・リーガやドイツのブンデスリーガも世界的なリーグですが、分配金の構造には大きな差があります。
「床」の高さの違い
他リーグでは、レアル・マドリードやバイエルン・ミュンヘンのようなトップクラブが多くの配分を得る一方、下位クラブへの配分は少なめです。
対してプレミアリーグは、最下位チームの受取額の約1億ポンド以上(約200億円)が、他リーグの優勝争いをするレベルのチームの分配金すら上回ることがあります。
これが、プレミアリーグの中堅・下位クラブが、他国の強豪クラブから主力選手を引き抜ける(爆買いできる)カラクリです。
CL出場権がもたらす利益
とはいえ、プレミアリーグのクラブにとってCL出場権(トップ4入り)は死活問題です。
なぜなら、プレミアリーグからの莫大な分配金に加えて、CLからの賞金も「二重取り」できるからです。
プレミアリーグで4位以内に入り、翌年のCLに出場すること。
これがクラブ経営において最も効率よく収益を最大化する方法であり、だからこそ「トップ4争い」は優勝争いと同じくらい熾烈になるのです。
プレミアリーグの降格クラブへのパラシュート制度

プレミアリーグの賞金システムを語る上で外せないのが、降格したチームへの手厚すぎる救済措置、「パラシュートペイメント」です。
2部降格時の救済金とは
プレミアリーグから2部(EFLチャンピオンシップ)に降格すると、放映権収入が激減します。
その落差による経営破綻を防ぐため、降格後最大3年間にわたってプレミアリーグから支払われるのがパラシュートペイメントです。
2024-25シーズンの例で見ると、降格1年目のクラブには約4,890万ポンド(約100億円)が支払われます。
2部リーグの通常の分配金が数百ポンド程度であることを考えると、これは桁違いの金額です。
パラシュートペイメントの是非
この制度は「降格しても安心」というソフトランディングを可能にする一方で、2部リーグの競争バランスを壊しているという批判も根強くあります。
パラシュートマネーを受け取っている降格組は、2部の他のクラブと比べて圧倒的な資金力を持つことになります。
結果として、「降格したチームがすぐに再昇格する(ヨーヨークラブ)」という現象が起きやすくなっているのです。
昇格組との財政格差
逆に、2部からプレミアリーグに昇格してきたクラブ(特に初昇格組)にとって、この資金格差は大きな壁となります。
残留を勝ち取るためには、限られた予算で賢く立ち回るか、オーナーが私財を投じて大型補強をするしかありません。
なぜプレミアリーグの優勝賞金はこれほど高額なのか

最後に、なぜプレミアリーグだけがこれほどまでにお金を生み出せるのか、その根本的な理由をまとめます。
海外放映権料の圧倒的シェア
最大の要因は、やはり「グローバルな人気」です。
など、世界中でプレミアリーグは視聴されています。
英語圏であることのアドバンテージに加え、マーケティングの成功により、海外からの放映権収入が右肩上がりで増え続けています。
競争力を生む公平な分配
そして何より、稼いだお金を「公平に分配」したことが成功の鍵でした。
成功のサイクル
公平に分配する ⇒ 下位チームも強くなる ⇒ どの試合も接戦で面白くなる ⇒ 世界中で人気が出る ⇒ 放映権料がさらに上がる
好循環(サイクル)を作り上げたことが、特定のクラブだけが強い他リーグとの決定的な差となりました。
下位クラブが上位クラブに勝利する番狂わせが日常茶飯事だからこそ、プレミアリーグに夢中になってしまいます。
まとめ|プレミアリーグの優勝賞金は340億円以上
今回は「プレミアリーグ優勝賞金」をテーマに、その驚くべき金額と仕組みについて解説しました。
- 優勝チームの総受取額は約1億7,600万ポンド(約340億円)にも達する
- 最下位でも約1億1,000万ポンド(約200億円)近くが保証されている
- この巨額資金は、公平な分配システムと国際的な放映権料収入によるもの
- CL優勝賞金と比較しても、リーグ分配金の総額は極めて高い
ピッチ上の戦いだけでなく、その裏にあるマネーゲームの仕組みを知ると、週末の試合観戦がまた違った視点で楽しめるかもしれません。
自分も引き続き、このクレイジーで魅力的なリーグを追いかけていきたいと思います。


