サッカーの最高峰リーグとも称される『プレミアリーグ』は、英国イングランドのサッカーリグです。
ビッグクラブの存在があったり世界各国からスター選手や名将が集結するため、世界を牽引する欧州サッカーの中でも高い人気と実力を兼ね備えたリーグとされています。
イングランドのフットボールの歴史は古く、多くの熱狂的なサポーターがスタジアムに足を運びます。
といったことからも、競争の激しさは他のリーグと比較しても突出しています。
欧州最高レベルのプレーが展開され、世界中に多くの『プレミアリーグ』ファンが存在しています。
世界中の人々から視聴されるサッカーリーグです。
といったプレミアリーグ独自の特色によって世界中に多大な影響力を持っています。
そこで本記事では、『イングランド・プレミアリーグ』の特徴を知りたいサッカーファンに向けて、人気の秘訣や魅力、プレミアリーグがここまで世界中に愛される理由について解説します。
プレミアリーグとは
『プレミアリーグ』とは、イングランドのプロサッカー1部リーグのことをいい、現在20クラブが在籍しています。
イギリス全土ではなくイングランドのサッカーリーグですが、ウェールズに本拠地を置くカーディフやスウォンジーといったクラブが、クラブ創設時の100年以上前からFAに所属していたため、現在でもイングランドのサッカーリーグに加盟しています。
まずはプレミアリーグの概要や歴史について軽く触れていきます。
すぐに特徴を知りたい方は次の章にすすみましょう。
プレミアリーグの仕組み
プレミアリーグは例年8月中旬に開幕して5月下旬に最終節が行われるリーグ戦で、参加クラブは全20クラブになります。
各クラブは、他の19クラブとシーズンを通してホーム&アウェイ方式で計2回対戦し、1チームあたり38試合行われ、リーグ全体では全380試合が開催されます。
といように勝ち点を積み重ねていき、シーズン終了後に獲得したポイントが一番多いクラブが優勝となります。
一貫した強さが求められるシステムです。
プレミアリーグの上位チームには、翌シーズンの
の出場権が与えられるため、出場権を獲得するために激しい上位争いが繰り広げられます。
下位3クラブはチャンピオンシップ(2部)に自動降格し、チャンピオンシップ(2部)の上位2クラブがプレミアリーグへ自動昇格、3~6位のうちプレーオフで1クラブが昇格します。
リーグ戦を戦う中で、CLやEL、FAカップやカラバオカップなども組まれるため、中2日や3日で試合を行わなければならないクラブも出てきます。
多くの試合をこなすための選手層や戦術なども楽しみの一つとなります。
多くの試合を視聴できる嬉しさもありますが、過密日程で選手の故障が心配でもあります。
プレミアリーグの歴史
プレミアリーグの前身にあたるフットボールリーグは1888年に創設され、世界最古のリーグと呼ばれています。
しかし、当時の強豪クラブ(マンチェスターU、アーセナル、リヴァプール、トッテナム、エヴァートン)がテレビ放映権料の分配などに不満を募らせ、フットボールリーグからの脱退と新しいリーグの立ち上げを宣言する事態にまで発展しました。
結果、1992年にフットボールリーグに所属していた22クラブ全てが脱退し、新リーグ「FAプレミアリーグ」の設立が決定しました。
何度かリーグ名が変更され、現在は『プレミアリーグ』として運営されています。
イングランドサッカーとしては100年以上もの歴史がありますが、プレミアリーグとしては30年ぐらいの若いリーグになります。
歴史深いイングランドサッカーですが、イギリスのスポーツ史上最悪の事故と呼ばれる「ヒルズボロの悲劇」という群衆事故を引き起こした悲しい過去もあります。
1989年のリヴァプールVSノッティンガム・フォレストの試合で、ゴール裏の立見席に収容能力を上回る大勢のサポーターが押し寄せ将棋倒しとなってしまい、死者96人、重軽傷者766人を出す大惨事となりました。
この事故も要因となり、新リーグ設立までにイギリス政府により1部・2部リーグに所属する全サッカークラブの使用するスタジアムに対し、全ての観客席を立見席から椅子席へ改装することが義務化されました。
劣悪な環境にあるスタジアムが改修され、安全にプレミアリーグを観戦できる環境へと変化しました。
暴徒集団とよばれたフーリガンもみかけなくなりました。
プレミアリーグの特徴
世界中のサッカーファンを魅了し続ける『イングランド・プレミアリーグ』の特徴を以下にまとめました。
優勝候補が多い
プレミアリーグは競争の激しさが魅力の一つで、毎シーズン複数の強豪クラブが優勝を争います。
特に、フットボールリーグ時代から強豪クラブとして有名な、
といった4クラブは『ビッグ4』と呼ばれ、1990年代から2010年代にかけて優勝争いを繰り広げました。
この4クラブに加えて、
の2クラブが優勝争いに参加するようになり、『ビッグ6』と呼ばれるようになりました。
日本でも人気のあるクラブです。
さらに、
など、長年プレミアリーグを支配する『ビッグ6』に台頭するクラブが増えてきて、勢力分布図が大きく変化しつつあります。
例年『ビッグ6』が優勝候補にあげられるのはもちろんのこと、2015-16シーズンに「レスター・シティ」が優勝したように、ダークホースとなりうるクラブも多いため、他国のリーグと比べると優勝するクラブを推測するのは極めて難しいとされています。
プレミアリーグの優勝争いは決して一方的な展開にならず、リーグが終了する最後までどのクラブが優勝するかわからないことも多いです。
資金力に優れたクラブが強力な選手を集める一方、チーム全体の戦術やチームワークが優勝を左右するところもプレミアリーグの深みを増す要因となっています。
ビッグ6が低迷するシーズンも増えてきました。
下位チームがビッグクラブに勝利する
プレミアリーグのクラブ格差は他リーグほど大きくなく下位クラブの実力も高いため、下位クラブがビッグクラブに勝利する「ジャイアントキリング」が頻繁に起こるシーズンもあります。
プレミアリーグ最大のジャイアントキリングの例としてあげられるのが、2015-16シーズンに岡崎慎司選手も活躍した「レスター・シティ」のリーグ優勝でしょう。
当時のレスターは「残留争いが当たり前」と評価されていましたが、
これらがレスターのプレースタイルにピッタリはまり、132年という歴史あるクラブがプレミアリーグで初優勝を成し遂げ、この奇跡は『ミラクル・レスター』と呼ばれ語り継がれています。
レスター・シティの例のように、毎週といっていいほどドラマが繰り広げられる試合があり、ファンの興奮を盛り上げテレビの前のサポーターも楽しませてくれます。
プレミアリーグが非常に魅力的に感じられる所以といえるでしょう。
チーム力が拮抗しているのでエキサイティングで面白いリーグです。
豊富な資金力でチームを強化できる
プレミアリーグは他国リーグより資金力が豊富といわれています。
選手や監督などの報酬も最高レベルなので、世界各国の代表選手やスター選手、優秀な監督が集結しやすい環境になっています。
資金力が豊富な理由の1つに「莫大な放映権料」があります。
放映権収入の分配はリーグ自体が管理していて、プレミアリーグに所属する各20クラブに一定の割合で分配されることになっています。
ビッグクラブの方がより多くの資金を得ることになりますが、他リーグに比べるとはるかに公平な分配が行われています。
そのため、有名選手や将来有望な若手選手を中堅クラブや下位クラブでも補強しやすくなっています。
放映権を収入源としたビジネスモデルとして成功しています。
その他、オーナシップ制度により実業家や投資家がクラブのオーナーを務めることで、クラブの資金力を高めることにつながっています。
近年では中東やアメリカからの投資家がクラブを買収し、その資金力を背景にビッグネームの選手を補強することが多く見られます。
しかし、資金力に頼るだけではなく、チームが持つ伝統や戦術もチーム強化には欠かせない要素となっています。
資金力と戦術が絶妙に絡み合い、試合毎に独特のドラマが生まれているといえるでしょう。
上位クラブに対抗するための戦術も見ていて面白いです。
\プレミアリーグ(2024-25)の放映権はどこが獲得した?/
欧州トップのリーグレベル
プレミアリーグは、下位クラブが『ビッグ6』と呼ばれるビッグクラブに勝利する番狂わせが多いことからも、リーグ全体のレベルが他リーグよりも高いことがわかります。
例えば、ラ・リーガではバルセロナとレアル・マドリードの2強をアトレティコ・マドリードが追走する感じで、ブンデスリーガではバイエルン・ミュンヘンとドルトムントが毎年のように優勝争いを繰り広げています。
プレミアリーグではそれぞれのクラブが異なる特徴や強みを持ち、
が組み合わさることで、世界中のプレミアファンを試合ごとに楽しませてくれます。
他リーグの優勝争いの顔触れは例年似ていますよね。
チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグといった欧州の大舞台でもプレミアリーグのクラブが活躍し続けることからも、その一流のレベルが伺えます。
CLやELでの成績からクラブの過去数年の成功がそのままポイントに反映される『UEFAクラブ別ランキング』を見てみましょう。
順位 | クラブ名 | 合計係数 | 2018-19 | 2019-20 | 2020-21 | 2021-22 | 2022-23 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1位 | マンチェスター・シティ (イングランド) | 145 | 25 | 25 | 35 | 27 | 33 |
2位 | バイエルン・ミュンヘン (ドイツ) | 136 | 20 | 36 | 27 | 26 | 27 |
3位 | チェルシー (イングランド) | 126 | 30 | 17 | 33 | 25 | 21 |
4位 | リヴァプール (イングランド) | 123 | 29 | 18 | 24 | 33 | 19 |
5位 | レアル・マドリード (スペイン) | 121 | 19 | 17 | 26 | 30 | 29 |
6位 | パリ・サンジェルマン (フランス) | 112 | 19 | 31 | 24 | 19 | 19 |
7位 | マンチェスター・ユナイテッド (イングランド) | 104 | 19 | 22 | 26 | 18 | 19 |
8位 | ユヴェントス (イタリア) | 101 | 21 | 22 | 21 | 20 | 17 |
9位 | バルセロナ (スペイン) | 98 | 30 | 24 | 20 | 15 | 9 |
10位 | ローマ (イタリア) | 97 | 17 | 11 | 24 | 23 | 22 |
過去5年の『UEFAクラブ別ランキング』をみると、上位10クラブ中4クラブをプレミア勢が占めているのがわかります。
CLの優勝回数こそレアル・マドリードが13回と圧倒的に多いですが、過去5年のCLのファイナルには、
の4クラブが進出しています。
2020-21シーズンにはチェルシーとマンチェスター・シティの“プレミア対決”が実現したことからも、プレミアリーグ全体のレベルの高さがわかるでしょう。
CLやELでのプレミア勢の活躍にも目が離せません。
熱狂的なサポーターとダービーマッチ
プレミアリーグでは、自身のクラブを激しく応援し試合の興奮を倍増させる熱狂的なサポーターの存在も見逃せません。
サポーターの間で特に盛り上がるのが、
で試合が行われる“ダービーマッチ”です。
といった対抗心や敵対心、意地とプライドをかけた試合は、選手やクラブだけでなくサポーターの闘争心にも火をつける戦いになります。
ダービー名 | 対戦クラブ | 備考 |
---|---|---|
マージーサイド・ダービー | リヴァプール 対 エヴァートン | イングランドのリヴァプール市に本拠地を置く 2クラブのダービー |
マンチェスター・ダービー | マンチェスターU 対 マンチェスターC | イングランドのマンチェスターに本拠地を置く 2クラブのダービー |
ノースウェスト・ダービー | マンチェスターU 対 リヴァプール | 長年イングランドの覇権を争ってきた 2クラブのダービー |
ノース・ロンドン・ダービー | トッテナム・ホットスパー 対 アーセナル | イングランドの首都ロンドン北部をホームタウンとする 2クラブのダービー |
ビッグロンドン・ダービー | アーセナル 対 チェルシー | イングランドの首都ロンドンをホームタウンとする 2クラブのダービー |
ローズ・ダービー | マンチェスターU 対 リーズ | イングランドの王権をかけて戦った薔薇戦争まで遡る ライバル関係 |
タイン・ウェア・ダービー | ニューカッスル 対 サンダーランド | 歴史的な確執から生まれたダービー |
バーミンガム・ダービー | バーミンガム 対 アストン・ヴィラ | イングランドのバーミンガム市に本拠地を置く 2クラブのダービー |
ウェスト・ロンドン・ダービー | チェルシー フラム クイーンズパーク・レンジャーズ ブレントフォード | イングランドの西ロンドンに本拠地を置く サッカークラブ同士が対戦するローカル・ダービー (注目度低め) |
サウスウェールズ・ダービー | カーディフ・シティ 対 スウォンジーシティ | 本拠地がウェールズにある2クラブのダービー |
M23ダービー | ブライトン 対 クリスタルパレス | 南ロンドンに本拠地のある2クラブのダービー |
地理的な近さや歴史的な背景から生まれるダービーマッチは毎シーズン大きな注目を集め、激しい試合展開になることが予想されます。
ただ単に勝敗を競うだけではなく、地域の誇りや伝統をかけた戦いとなるため、その興奮度は一般の試合を遥かに凌駕します。
各クラブのライバル関係もプレミアリーグの魅力を高める要素となっているので注目してみましょう。
ビッグクラブ同士によるダービーマッチは見ものです!
各クラブが持つ個性や戦術
各クラブが持つ個性や戦術もまたプレミアリーグの特徴の一つです。
といったサッカーが魅力的です。
球離れが速くフィジカルに優れた選手が多い中で、技術力だけでなく瞬発力や体力が要求されます。
体を張った守備プレーにより、その激しさと迫力は観る者を引きつけます。
ポゼッションを主体にしたりチームによるサッカーの違いはありますが、基本的にどのチームも迫力のある縦に速いサッカーを展開しているので、
などが多くなります。
その分、観客に息つく暇さえ与えない迫力満点なプレーで魅了してくれたり、絶えずドキドキワクワクするようなサッカーを演出しています。
ゴール前にボールが行き交う回数が多いので、観るには最高のリーグといえるでしょう。
選手のボールに対する執着心も見ものです。
プレミアリーグの特徴|まとめ
プレミアリーグの特徴は、
これらが絡み合い、プレミアリーグ独自の魅力を引き立てています。
プレミアリーグはただの国内リーグを超え、全世界のサッカーファンを惹きつける絶大な魅力を持っています。
見どころ満載のプレミアリーグは、世界最高峰のサッカーリーグとしてその地位を保ち続けていくことでしょう。
是非この機会に『イングランド・プレミアリーグ』を視聴してみてはいかがでしょうか?